ユウのよしなしごと

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【弱虫ペダル】小野田坂道のママチャリを作る方法

朝に通勤していると、シートポストが異様に長いママチャリに乗っている人を見かけました。

ここで思い出されるのが、『弱虫ペダル』主人公・小野田坂道のママチャリです。 f:id:youlin2011:20201220221334j:plain

ありえんケイデンス

あまりにも有名なので説明しなくてもいいかもしれませんが、『弱虫ペダル』はオタクな主人公がひょんなきっかけから自転車競技部に入り、インターハイで優勝を目指すという漫画です。

主人公の武器は脚の回転スピード。もともと滑り止めがあるような急坂を、重たいママチャリで登るという強靭な体の持ち主でしたが、その理由は
①秋葉原まで毎週ママチャリで向かっていたこと
②ママチャリには細工がしてあった
の2つ。

特に②に関して、小野田くんのママチャリはシングルスピードですが、「あまり遠くに行けないように」母親の意向から、フロントチェーンリングを歯数が少ないものに替えられていました。同じ距離を進むのにより多くの回転数が必要になるため、普通の人なら音を上げてしまいます。
しかし、小野田くんはそれでも遠くに行っちまうもんで、自然とケイデンス力が付き、ロードレーサー経験者のライバルとも互角以上に闘えた…というカラクリ。マンガなのでマジレスは禁物です(笑)

「それ付けたやつ、相当“タヌキ”やな!」

小野田くんは話の冒頭で経験者のコとヒルクライム対決をしますが、その対決のサポートを担った女の子に、対決途中にシートポストをギリギリまで上げられ、対決後には勝手にママチャリ改造させられます。羨ましい

その後、小野田くんは改造の詳細も知らされないまま自転車を返され、何の気なく走っていますが、目ざとい“浪速のスピードマン”に改造内容を見破られてしまいます。

それ付けたやつ、相当“タヌキ”やな! お前をロードの世界に引き入れようっていう匂いがプンプンやで!

(´-`).。oO(俺もそう思う)

そう、小野田くんのママチャリにはフロントディレイラーと、それに対応するダブルチェーンリングやシフターを装備されていたのでした。
そのため、大幅なギアアップを得た小野田くんはそのままクランクをぶん回し大加速。
ママチャリのリアコグはだいたい14tとのことなので、ほぼ高体連既定の「ジュニアスプロケット」(学生の成長を考慮し、ギア比を抑えたもの)の最大ギアと同じ。ロード用のクランクと合わさっているため、(車体の重量や剛性を抜きにすれば)ロードバイク並みの加速を得ることはまあ可能ですね。

wakuwaku-jitensha.com

どうやって作るのか?

さて、このようなママチャリの改造は、どのようにして実現できるのか?
自転車のメンテナンスなどをかじった経験から考察していきます。

www.ysroad.co.jp といっても、実写版『弱虫ペダル』に機材を提供したワイズロードが特設サイトで解説しているんですけどね💦

チェーンカバーを外す

クランクを変更するため、ママチャリにデフォルトで装備されているチェーンカバーを外す必要があります。

クランクを変える

クランクをロード用のダブルクランクに替えるには、クランクのほか対応するボトムブラケット(BB)が必要です。

ワイズロードの再現バイクでは、中古感を出すためか、使い古した46ティアグラのクランク(FC-4600)を使っていますが…これでは「ホローテックⅡ」規格になってしまいます。

アニメ版ではおそらく旧式の「四角テーパーBB」が使われています。
しかし、現在は「スギノ」などでしか質のいい四角テーパーBBタイプのクランクがないので、あえてホローテックⅡタイプクランクを使用したのでしょうか。
BBはおそらくママチャリも「JIS規格」なので、横幅68㎜のBBが適合するかと。
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BBの交換方法などは、クロスバイクを改造した過去記事をご参照ください。

www.yoshinashigoto.com

www.yoshinashigoto.com

フロントディレイラーを付ける

ダブルチェーンリングになったので、変速機を付ける必要があります。 2速・3速用とあって、ぶっちゃけどちらでもいいですが、クランクとシリーズが同じ2速のものを使うと問題がないと思います。

チェーンテンショナーを付ける

フロントディレイラーを付けるため、ギアがアウターのとき、インナーのときでチェーンの長さが変わります。
そこで、普通の自転車では「リアディレイラー」を使うことでどんなギアのときでもチェーンがピンと張られるようになっているのですが…小野田くんのママチャリにはリアギアがないことに注目。
この場合、変速機能のない「チェーンテンショナー」を使っても大丈夫ですが、アニメや実写版ではリアディレイラーを代わりに使っています。ややこしい
シマノであれば、アルフィーネのチェーンテンショナーがよさげ。

シングルギアのママチャリにはリアディレイラー・チェーンテンショナーを付けるディレイラーハンガーが付いていないので、シマノから出ている「リアディレイラーブラケットユニット」を後付けする必要があります。

チェーンを張る

クランク・フロントディレイラー・チェーンテンショナーを付けたら、いよいよチェーンを張ります。
何速用のチェーンを使うかは、おそらくチェーンリングによるでしょう。46ティアグラみたいに10速用のチェーンリングを使うなら、10速用のチェーンだし。
あえてこの改造をやるのなら、8速で環境を整えるのが安上がりな気がします。
プーリーも8速用に替えるとなお良し、ですね。

変速レバーをハンドルに付ける

変速機を付けたら、それに対応する変速レバーをハンドルに付けます。
再現バイクでは、ひねって変速する「グリップシフト」が使われていますが、これにも一工夫アリ。
元の状態では3速用のレバーしかないはずなので、2速用に調整する必要があります。おそらく、一段殺す感じで組み付けるのかな?と思います。

シートポストは25.4㎜径を

変速周りは以上。
あとはシートポストやサドルまわりですが、デフォルトの短いシートポストを長いものに変更したり、少しスポーティーなサドルに換装すればOKでしょう。
ママチャリのシートポストはロードバイク(27.2mm/31.6mm)に比べ細いのが特徴。
実はキャノンデールの「CAAD12」は振動逓減のため25.4㎜のシートポストを使用しているらしく、ママチャリのシートポストが理論上使えることになるので、両方持っている人は試してみてください(笑)

自転車改造は自己責任で

ここまで書いて言うのもアレですが、費用や苦労のわりに機能性は薄いこの改造。
でも絶対面白いし、自転車の勉強にもなるので、時間のある高校生などはこの冬休みの一大実験として、通学で使っているママチャリの大改造にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

最後に、改造などは各自の自己責任で行うよう、よろしくお願い致します!