映画「阪急電車~片道15分の奇跡~」をご存知だろうか。
有村浩(女性作家)の「阪急電車」という小説が原作で、関西(神戸・大阪・京都)を走る有名私鉄「阪急電鉄」の中でも、西宮〜宝塚間を結ぶ今津線を舞台としている。
2011年公開の映画で、すでに11年が経とうとしているが、これがまあ本当に好き。子供の頃、母親と一緒にテレビで放映しているのを観たときから、神戸への望郷の念もあって今も繰り返し観ている。
誰かが死ぬとか、大きな事件が起きるとかではない。むしろそれとは対極的な、「ほとんどの人にとっては取るに足りないことだけど、本人にとっては毎晩頭を抱えるような、日々のストレス」にフォーカスを当てている。
何ていうかさ、悪くないよね、この人生。
中谷美紀のこのセリフに、この映画の良さが詰まっている。
今見ると、その素敵な公式サイトが消されていたが、開発会社の紹介記事が生き残っている。
阪急電車は、私の大学時代で最も使用した路線だった。神戸〜大阪間は面白いことに阪急電車・JR神戸線・阪神電車の3本が並行していて、阪急電車はその中でも最も山側を走っている。
個人的な阪急電車のイメージは「遠くに行くならイチバン安い」。例えば三宮(神戸)を起点として、梅田(大阪)まで320円、京都まで630円。他2社を寄せ付けない安さかつ良い客層で、しかも比較的混んでいない。急いでいるときは追加料金無しの特急列車で、時間がある日は各停列車で景色を楽しむ…阪急が大好きだった。
私の大学時代のゼミはその専門の内容もあって、就活では阪急電鉄を経営する阪急阪神ホールディングスを受験する仲間が多くいた。この会社に受かるには3年生の夏インターンに受からねばならないということを3年生初夏に知り、必死で受験したのを覚えている。私の結果は2次面接落ち、書類が通っただけでも嬉しかったけど。
阪急は関西圏を代表する企業であるから、その人気は絶大。
駅のホームには乗客整理を行う学生アルバイトもいて、友人はそれに参加していた。実際に阪急電鉄で働けること、アルバイトには乗り放題の特殊チケットが貸与されるで、人気アルバイトだったとかなんとか。
整備員の愛情が伝わってくるほど常にピカピカの車体で、地元画家のイラストがラッピングされているものもあり、名前そのまま映画になってしまうほど愛されている「阪急電車」。
いつまでも、そのマルーン色が関西を走ってくれると願いたい。