ユウのよしなしごと

アウトドアで生活を豊かに。

初心者がクロスビートSW836TMLをガイド交換してみた

このブログでも何度か登場しているクロスビートSW836TML。

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購入前まで未開拓だったライトショアジギング用に購入し、見事初釣行日にターゲットであるハマチの子を釣り上げてくれました。

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 しかし基本的な性能こそ問題ないのですが、このロッドは「市販のテレスコ」。

そうガイドセッティングがあまり気持ちのいいものではないのですね(フットが短い、リングが必要以上に大きい、数が少ない)。

それら不満についても以前記事を書きました。

じゃあ、自分好みに変えたらいいじゃないか。

その道の先人に学ぼう

現在はYouTubeという汎用的な動画プラットフォームがありますよね。

テレスコ、自作、改造。この3ワードから「テレスコピックロッドクラフト」というチャンネルに出会います。

そのなかでも「ガルプスティックの問題を全解決する方法」という動画があり、ロッドレングスや問題に共通する点が多かった。

今回はこれを参考にロッド改造を進めていきます。いやァありがたい…

成し遂げたいこと

今回のロッド改造での目的・方法を整理しましょう。

まずは目的

  • 市販テレスコロッドにありがちなダサいガイドを、2ピースロッドとくらべても遜色ないカッコいいものに変えたい
  • PEライン使用に合ったセッティングに変えたい
  • 付属のFuji製ティップカバーは、そのまま使えるようにしたい
  • もっと振り感をシャッキリとさせたい

こんな感じでしょうか。

 

続いて、この目的を達成するための方法。(ほぼ動画の受け売りですが笑)
あ、この目的と方法をタスク始める前に整理するの、結構良いと思います。「なんでこれやってるんだっけ?」がなくなるので…

  • 小径多点ガイド配置にする
  • フレームにカーボン・チタンを使う
  • 自作遊動ガイドを作って、バットガイドを1つ増やす(総ガイド数:8→9)
  • バットガイドは、スレッド巻きにする

こんな感じ。

では、次は購入編

スレッド巻きをするため、フィニッシングモーターが必要に。結構かかりそう…

必要なモノを買う

購入には「Amazon」「ダイソー」「釣具のイシグロ」を利用しました。

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  • Amazon
    • デジタルノギス:ガイド径を測るのに必要
    • フィニッシングモーター:スレッドのコーティングにエポキシを塗るとき、ゆっくり回し続けることでムラが無くなるらしい 飽きたら豚の丸焼きに使う
    • エポキシコート:スレッドに塗るエポキシ。2つの液体を使う寸前に混ぜる(時間経過で固まっていくので)
    • スペーサーテープ:(今回は使わない)ブランクとグリップの隙間を埋める 意外とアナログなやり方ですね
    • マスキングテープ:ガイド仮止めなどいろいろ使う
    • アロンアルファ 釣り名人:瞬間接着剤的に使うもよし、後述の「肉盛り」に使うもよし。一番有能かもしれない
    • エポキシボンド:遊動ガイドの接着に使う
  • ダイソー
    • 紙やすり:ちょっと削って整形したいときとかに便利
    • 鉄やすり:ちょっと削って(ry
    • プラカップ:エポキシを混ぜるときに使う(なんでもいい)
    • 作業マット:机を汚したくなかったので
  • イシグロ
    • ガイド9個:今回の主役 小さいのに高いぜ!
    • スレッド:Fuji製の「EZスレッド」。無難に黒を選択
    • スレッドホルダー:スレッドを装着するホルダー。「いるか?」と思ったけど、たしかに便利なので1600円だし買うのをおすすめする

Amazonではだいたい1万円くらい、ダイソーでは500円くらい、イシグロでは1万円くらい(ガイドは7150円くらい)でした。

今回は割と高級なガイドを使っているので、まあ普通は5000円として、だいたい15000円くらいほぼすべての工具を揃えつつ、ガイド交換を体験できるといった感じでしょうか。

次回からはパーツ代だけで済みますし、そんなに高くはない趣味かな?と思いました。

 

Amazonとダイソーでは主に工具や接着剤、イシグロでは実際のパーツを買っていることが分かるかと思います。

Amazonでもいちおうガイドは売っていることは売っているんですが、ニッチ過ぎるゆえかイシグロよりずいぶん割高でした。

しかしイシグロはイシグロで、現在クレジットカード払いができず、今回コンビニで支払ったところ送料と手数料で少し持っていかれました。まあ、通販ってキホンこういう感じだからこそ、Amazonが上陸するまではあまり普及しなかったのでしょうけど…

家の近くにロッドビルディング専門店みたいなのがあれば、どんなに幸せでしょうかね

 

次はガイドのレシピについて書いていきます。

ガイドレシピ設計

テレスコロッドは普通の竿と違い「仕舞う」ことが必要になるので、ガイドの選定にも少しコツが必要です。

一般的にロッドはグリップ側に行くほど太くなりますよね。テレスコロッドのガイドはロッドのその太さの変化を利用して、ロッドの径とガイドの径より太くなったタイミングで止まります。

参考までに、テレスコ用ガイドは通常のガイドとは違い、ガイドのリングサイズとは別に「パイプサイズ」の表記があるんです。

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画像引用:釣具のイシグロ

という理由で、自分の決めたガイドセッティングどおりにするには、ロッドの太さ=パイプサイズの計測がとても大事。

ここでデジタルはかりが必要になってきます。

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参考までに、デフォルトのガイドレシピはこんな感じ(スプレッドシートで作成)。

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ガイド数は8個で、お決まりの「先端のみSiCリング」。

(ちなみに、「この竿ガイド何使ってるのかな?」と思ったら、SLPのサイトで検索することをおすすめします)

www.sl-planets.co.jp

これを、今回はこうします。

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ティップ部はC-IMガイド、ベリー部はIMガイド、バットはK-Lガイド。イメージは「ライトなエギングロッド」のガイド配置です。

(ちなみにトップガイドがステンレスなのは、すみません、本当はここまでするならチタントルザイトを使うべきなんでしょうけど…さすがに2000円もするのは手が出ず…
貧乏性が出てしまいました笑)

ガイド同士の間隔を決めるコツは、「ティップ側に寄るほど狭くなっていく」ということ。そのルールでガイド位置を決め、その位置のロッド太さをノギスで測り、そのサイズに合うガイドを選ぶ、ということになります。

 

余談ですが、こういうガイドレシピ、ユーザーが自分で測らないとメーカーが教えてくれるわけでもないので、レシピをまとめてくれるブログやサイトがあったら便利そうですよね。

ロッド改造のいちケースとして、だれもが参考にできると思いますし…

次は実践編です。

実践編①パーツを外す

まずはロッドからガイドを外します。

外し方はかんたんで、「ライターでガイド部分のみを温め、接着剤を溶かす→ペンチで引っこ抜く」。

ブランクに火が当たるとかんたんに折れるみたいなので注意しましょう。

 外し終わりました。ほのかに警察の押収物感。

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ちなみに各パーツの重量も載せておきます。

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#1:2g
#2:5g
#3:10g
#4:13g
#5:17g
#6:90g
ガイド:8g
エンドキャップ:6g
総重量:151g

うん、重いですね笑

あとはいかにグリップ部分が重量の大半を占めているか、よく分かるかと思います。最近のロッドはグリップが軽量化されているから軽いんですよね。

あとはガイド。数値こそ小さいですが、手元から離れるほどテコの原理で影響力をマシていくので、意外とばかにならないんですな。

実践編②仮組みしてみる

さて、とりあえず新ガイドを仮組みして、位置関係を見てみましょう。

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ティップ側の遊動ガイドのパイプサイズが小さいのか、少し位置が変ですね。

ということで、組付けの際にはガイドのパイプか、ブランクを紙やすりで削る必要があります。

だから、ガイドのパイプサイズは小さいよりは多少大きいほうがいいのかも。パイプもブランクも、正直削りたくはないですから…多少大きくても、エポキシを塗ってブランクを肉盛りすればその場所にガイドが止まってくれますからね。

それにしても、ずいぶんシャッキリとした見た目になりました。結構差があるので、デフォルトとの対比は記事最後に載せようと思います。

実践編③自作遊動ガイドの作成

バットガイドを1番として、2番ガイドは

  • その径に合うチタン遊動ガイドがない(ステンレスならある?)
  • 遊動ガイドよりは少し背のあるスレッド巻ガイドを使いたい

といった理由から、「自作遊動ガイド」なるものを作成する必要が出てきました。

その正体は、いらない竿から遊動ガイドが止まる場所の太さと同じところから1cmくらいを切り取り、それにスレッドでガイドを取り付ける、というシロモノ。

今回は以前買ったけどあまり出番のない、中華製カーボン延べ竿を生贄に捧げることにしました。

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2000円くらい。軽いですよぉ

 

まずは自作遊動ガイドが止まる位置のブランクの太さを計測。

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9.14mmでした。なので若干太めに9.5mmくらいでしょうか?

一応、ブランク同士を繋げてみる。

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測ってみたら9.56mmでした。

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1cmほど切り落とします。今回は100均のカッターでやりましたが、まあ大変だった…

素直にのこぎりを使うことをおすすめします!

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さあ、具材は整ったぜ。

実践編④スレッド巻き

ついにスレッドを巻いていきます。密に、隙間なく巻くのがコツ。らしい。

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僕だけでしょうけど、昔「大人の科学」っていう付録付き雑誌を買ったのを思い出す作業でした。

動線を密に巻いて電磁コイルを作ろう、みたいな内容だった気がするんですが、説明書通りに組み立てても全然動かない。

そこで昔プロのエンジニアだった祖父に見てもらうと「こんな粗末に作るなんて舐めているのか!」と激怒され(確かに密巻きが甘かったけど、まさか怒られるとは思わなかった)シュンとしました…笑 いい思い出です。

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今回は無難に真っ黒スレッド。ここは結構個性が出せる箇所かなと思うんですけど、まあひとつずつ成長していきましょう。

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自作遊動ガイドにもスレッド巻き。あとはこいつの位置関係のせいでガイドをつけないことになったロッドピースの継ぎ目にもスレッドを巻いておき、この作業はおしまい。

そう、2ピースロッドよりも全然少ないんです。だからテレスコ制作は入門者におすすめ。

あ、僕も入門者だった😅

あと気付いた方いらっしゃればツウだと思いますが、この自作遊動ガイド、シマノの高級テレスコロッド「ボーダレス ショートスペック」にも使われている技術なんですよ!

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引用:シマノ

実践編⑤エポキシコーティング

あんまり写真撮ってないのが悔やまれる…

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東邦産業さんの有名なエポキシ。

AとBの2つビンがあり、それぞれに注射器が付属しています。

それらを使用寸前に同量ずつ混ぜると、時間の経過とともに固まっていく、という仕組みです。だからA液の入ったビンにB液が混ざるともう使えなくなる…注射器の使い分けには注意が必要です。

フィニッシングモータにロッドを装着し、スイッチオン(ちなみにコンセント式です、電池いらない!)。

ロッドがゆっくり回転し、塗ったスレッドがムラなく硬化していきます。

あとはしばらく放置。 夕方に作業し、翌日10時くらいまで回し続けました。

 

実践編⑥他ガイドをボンドで固定(完成!)

あとは他のガイドをボンドで固定し、硬化を待って(5分)、ついに完成!

 

これから流行るであろう、ミドルゲームにもってこいなバーサタイルテレスコロッドに生まれ変わりました!

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もちろん純正カバーも付きます。安全!

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最終的なガイド配置はこんな感じ。ティップ部はヤスリでなんとかしました笑

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これがデフォルトのガイド。

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全然印象違いますよね。

例えるなら、田舎から上京したての大学生 vs 2年後、都会に染まった姿、みたいな…

いやな野暮ったさは一掃されました。

1本作ってみて…

いろいろ反省点あります。

①ガイドのパイプ径はギリギリ攻めるより少しゆとりをもたせる

ギリギリを攻めるほど、工業製品として避けれない誤差に苦しむことになります。今回ティップ部を結構ヤスッたので、今度投げるのがすこし怖いです…俺みたいになるな。

②純正のガイド位置を疑え

初めてということもあって色々イジるのは怖かったので、ガイド位置に関しては正直純正とほぼ同じです。変えたの遊動ガイドあたりくらいか?

しかし、実際はめてみるとティップ部の4ガイドの位置が少しバランス悪い。せっかく自作しているんだから、もう少し自由な発想を持つべきでした。

 

寒い時期は釣りできなくて、暖かい季節が待ち遠しいものでしたが、室内でも出来る釣り趣味ができて嬉しい。

次はフルスクラッチで1本作ってみようと思います。

 

この記事がロッドビルディングに一歩踏み出すきっかけになれば幸いです😉