いよいよ4日目。3日目は高崎から日本海を通り、青森まで快走しましたが…それとは対称的に、この日が一番過酷だったかもしれません。
- 青森(6:15)→蟹田(6:58)
- 18きっぷの“オプション券”
- 蟹田(7:07)→津軽二股(7:31)
- 津軽二股➡奥津軽いまべつ(8:12)→木古内(8:46) 【北海道新幹線】
- 木古内で3時間もなにすんねん
- 木古内(11:16)→函館(12:16) 【いさりび鉄道】
- 函館(14:30)→長万部(17:52)
- 長万部(20:00)→小樽(22:50) ニセコルート
- 小樽(23:10)→札幌(23:54)
- ついに明日は最終日
青森(6:15)→蟹田(6:58)
あいも変わらず、この日も5時起床。この極寒の時期にする早起きは命を縮めている感覚がある。
しかし、ここは青森。日の出は思ったよりも早い。ホテルを出発する頃には、空は明るんでいた。
昔なつかし、テレフォンクラブ。LINE、Tinder、Pairsと、現在はその役割をすべてスマホに奪われてしまった。
主要駅前にこのような時代の遺物があるなんて、朝からいい発見をした。
青森駅陸橋から。この先は行き止まりとなっている。
雪化粧をしたコバルトブルーの屋根が、なんともレトロな雰囲気を醸し出す。
しかし、これほど視界に雪が映っているのに、不思議とそこまで寒くない。なぜだろう。
18きっぷの“オプション券”
この日はついに北海道入りを果たすため、2016年に開通した北海道新幹線に初乗りする。
そこで利用するのが、青春18きっぷの「オプション券」なるもの。
販売価格2490円であるこのきっぷと18きっぷを併用することで、北海道新幹線区間の「奥津軽いまべつ駅~木古内駅」と「いさりび鉄道全線(木古内~函館)」に乗ることができる。
ということで、青森駅から北上し、奥津軽いまべつ駅を目指す必要がある。
蟹田(7:07)→津軽二股(7:31)
蟹田駅で一度乗り換え。ホーム右の寂れた風体をした国鉄車の雰囲気よ…
蟹田まで、鉄道は海岸線を走っていた。海面で反射する朝日が眩しいのよ。
ここから奥津軽いまべつ駅最寄りの「津軽二股駅」まで、鉄道は鬱蒼とした山の中を走っていく。
津軽二股➡奥津軽いまべつ(8:12)→木古内(8:46) 【北海道新幹線】
津軽二股着。こんなド田舎に新幹線の駅なんてあるのだろうか?
あった。
しかもアホみたいにデカイ。
奥津軽いまべつ駅の内装が綺麗すぎて僕は。たぶん誰も使っていないからだろうけど
すべての新幹線駅を見たわけではないけど、これほど奥地にある駅も珍しいだろう。
電光掲示板に表示された、新函館北斗行きの8時の便の次が11時て、おいおい。
採算が取れないからか、新幹線駅でありがちなカフェや書店はおろか、売店すら無い自販機はかろうじてある。
「四国新幹線を建造する計画がある」というのは知っているが、新型コロナの影響で東海のドル箱路線も苦境に立たされているなか、本当にやっていいのかね…
奥津軽いまべつ駅での乗客は僕含め3人くらい。3人て。
たぶん、“同志”なんだろうな…
なにはともあれ、ついに最後の都道府県に突入していく。
木古内で3時間もなにすんねん
めっちゃブレてて申し訳ない。久々の新幹線の座席の快適性は“沁みる”ぜ…
せっかく新幹線に乗ったんだから、ついでに新函館北斗まで連れて行ってくれれば良いものの、オプション券の縛りによりここ木古内駅で降りることになる。
実はここがこの旅の難易度というか、ハードルを上げている部分となる。木古内駅からはいさりび鉄道という第三セクターの鉄道を使って函館を目指すことになるが…
8時の便の次は11時。そう、接続が鬼のように悪いのだ。
だから3時間弱、ここ木古内駅で待機することになる。
ちなみに現在は3月13日施行のダイヤ変更により、8時の便がなくなった代わりに9時の便ができた。これにより18きっぷ使いの利便性は非常に高まったといえるだろう。
というか、僕が行った直後にダイヤ改正あったってことは、少し割を食ってしまったといえるな…
そんなこんなで、11時までここ木古内で時間を潰さねばならない。
幸い、こんなことあろうかと暇つぶしグッズは多数用意していた。
青森のホテルで頂いた今日の朝刊、グリーン車で持って帰ったトランベール(JRの雑誌)、Kindle、スマホ。
アシがないのでそこまで遠くにはいけないが、駅前をぶらつくなどすると意外に時間というのは過ぎてくれるものだ。
木古内(11:16)→函館(12:16) 【いさりび鉄道】
真っ黄色な車体が白銀の世界で存在感を放つ、道南いさりび鉄道。ついに「北海道のローカル線」というロマンマシマシな旅が始まる。
北海道に入ってからはとにかく天気に恵まれた。ちょうど海岸線沿いにぐるりと函館を目指していく。
天気のおかげで暖かく、そして鉄道のダイヤも予定通り。北海道は3月でも普通に吹雪くので、今回のような北向きルートは北海道でつまずくリスクがある。つくづく幸せ者だ。
この旅をしていて共通して思うのだが、都会や街で過ごす僕たちは日常のなかでどれだけ「言葉」のストレスに体力を奪われているのだろう。
「キク」という言葉は「聞く」「聴く」「訊く」の3つに分類される。
勝手に音が耳に入ってくる「聞く」、自ら積極的に音を入れる「聴く」、特定の相手を対象とした「訊く」。
後者2つは積極性があるという点で、よりパッシブな性質を持つ「聞く」とは疲労感が違う。
これと同じで、都会には言葉が溢れている。主には店の看板、大型液晶にデジタルサイネージなどであるが、そのほとんどが「見たくもない言葉」である。
知らず知らずのうちの、人間は言葉の持つ魔力に体力を奪われているのではないだろうか。言葉を作れるのは人間だけなのに、その言葉に人間が疲労しているとは何とも皮肉な話ではあるが。
ローカル線で田舎の風景をボーッと流して見ていると癒やされるのは、このためなのだと自分の中で納得している。
1時間ほどで木古内~函館の旅はおわり。9月ぶりに函館へ舞い戻ってきた。
函館(14:30)→長万部(17:52)
道北方面への鉄道には、2時間ほどの待機時間がある。また待機かよ…
しかし、このユルさこそが北海道の器の広さの象徴なのである。やばいレベルの赤字はさておき
函館といえば。
ラッキーピエロやろ!
もちろんチャイチキセットを購入。バーガーとポテトとウーロン茶で600円。安いね。
ちなみにドリンクは変えられません。
もちろん、文句なしにマイウ~。
海辺にも行ったりして。
カジカとかエゾメバルとか、北海道のロックフィッシュゲーム、まじで近いうちにやりたい。
ていうか、釣りしながら日本縦断ってのも、もう少し時間的余裕と金銭的余裕があれば出来たかもしれないな…
はい、親の顔より見たキハ40!ホワイトベースにグリーンとブルーのラインが“北海道”って感じ。
この鉄道で目指すは長万部(おしゃまんべ)。分かり易すぎるほどアイヌ語由来です。
白背景に白ビール、これが堪んねえんだあ(完全におっさん)。
赤屋根な木造駅舎が儚くも美しい、鹿部駅。そう、このどうしようもなく懐古的な光景を見るために、ここまで来たんだ。涙が出る。誰にも理解されない価値観、だいじ。
ちなみに森駅付近の海辺には、「明治神宮上陸碑」なる大きな石碑がそそり立っています。初めてここを通った人は「何やあれ?」となるはず。そもそも来ないか、ハハッ
もちろん、沿線は本州では体験し得ないほどのドドド田舎。正直言って、ずっと見どころな車窓が続く…わけではない。
しかし、そんな「無為」を過ごす時間というのも、すべてにおいて常に合理化を迫られている現代人には必要なものなのではないか。
長万部(20:00)→小樽(22:50) ニセコルート
長万部到着。おしゃおしゃ
しかし、ここでもまた足止め。18時前~20時だから、また2時間か。
運が悪いことに、夜の長万部は本当に行くところがない。
夕食どきとはいえ、開いている店のほうが少ない…駅前とは。
幸い、駅を出て北向き500mのところにセブンイレブンがあったのでそこを目指す。なぜ駅前にないのだろう。
しかし、その道程は険しく()昨晩の青森と同じく、昼間に溶けた雪や滑りやすい氷のせいでぜんぜん歩けない。かといって車道を歩くのは危ない。街灯もほとんど点いていない…500mに20分くらいかかってしもうた。
長万部駅のこの時刻表がなんとも印象的だった。
赤字が特急、黒字が在来線であるが、見事に特急のダイヤのほうが多い。北海道の特急文化を象徴するダイヤである。
コンビニ弁当をつつきつつ、誰もいない駅舎でグダグダしていると、次の列車がホームに着く音が聞こえた。
運良く、今回乗る列車は最近導入されたH100形気動車というもの。いままで乗ってきた国鉄系の車両とは一線を画す、現代的なカラーデザイン。そう、JR北海道にも新車両はあるのですよ。
しかし、まじで乗客が来ない。
長万部から小樽へ行くルートは
・長万部➡東室蘭➡新千歳➡札幌➡小樽
・長万部➡ニセコ➡倶知安➡小樽
の2つがあって、今回は下のニセコルートを通る。
これは内陸ルートであるから、鉄道は夜中の山奥を突き進むわけであるが。
ご覧のありさまである。車両内でコスプレ撮影もできるレベルで1人。
これが小樽駅の2つ前の駅まで続いた。
2時間半ほど、僕はワンマン運転の新型1両編成鉄道に乗り、けたたましい汽笛と振動に耐えつつ1人で山中を駆け抜けた。そうそうできる体験ではなかったと思う。
それにしても、ニセコルートは面白い駅名が多い。倶知安を「くっちゃん」と読める人は、初見だとどれくらいいるのだろう。ていうか、昆布って、お前。
乗客はほとんどいなくても、それぞれの駅で灯りは点いている。これを希望の光と見るか赤字の垂れ流しと見るかは人によると思うが、これらが消える未来もそうそう遠くないのかもしれないことに寂しさを覚える。
ついに小樽着。昨年の思い出が頭の中でつながる。
ホームから醸し出される明治感(合ってるかは不明)がたまらない。
小樽(23:10)→札幌(23:54)
小樽から札幌までは快速エアポートを使えば早いが、今回乗ったのは各駅停車なので結構時間が掛かる。
さらに小樽から札幌に向けては電化区間なので、おなじみのパンタグラフを久しぶりに見ることができる。昨日も途中からなくなってたからね。
乗客はまばらであるが、飲み帰りの人が多かったのが印象的。コロナ騒動はいつ終わるのだろう。
そして24時前に札幌駅着。長かった…今日は、長かった…
ついに明日は最終日
しかし、翌日はまた6時発の列車に乗らなくてはならない。今回の旅で最も睡眠時間が短い。普通にきついて
ホテルはこんな感じ。奥にあるマッサージチェアで疲れを癒やし、持てるデバイスのすべてにアラームを設定して、ベッドに溶けることにした。
5日目につづく