ユウのよしなしごと

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“挙手制”で支えられている経済と子供

先週は関東の一都三県に、そして明日からは関西二府一県で発令される、緊急事態宣言。

特に昨日は成人式が開催だ、中止だと大騒ぎになったりしましたね。
そこで、コロナ禍になってから神戸大学の岩田教授のブログが、またツイッターで話題となっていたので僕も読みましたわ。

blogos.com

その文章を一部引用させていただく。

美容院や呉服店にとっては年に一度の稼ぎどきなのだ。経済を回さなければいけない。そんな賢しらな大人の言葉を聞いたことがあるかもしれません。

もし、みなさんが「経済を回すこと」に関心があるのなら、とてもよい心がけです。ぜひ、じゃんじゃん回してください。美容院にいって髪をセットしてもらい、着物を新調してください。写真館に行って、記念写真をとってもよいでしょう。そうすれば経済は回せます。
群れを作らないと経済が回らない、というのは想像力を失い、過去の自分の体験でしかものを語れない、ぼくのようなじーさんやばーさんの発想です。想像力豊かなみなさんなら、群れなくてもできる「経済を回す」方法をいくらでも思いつくことでしょう。

 

この文章を見て、僕の心の中のモヤモヤが晴れたように感じます。

GoToトラベル・GoToイートキャンペーン発表のとき、「誰かが経済を回さなければならない」といった声が、どこからともなく発せられていたのを感じてました。

これを抽象化すれば、現在の社会システムは人々の自主的な貢献・犠牲によって成り立っている面が多いのではと思います。そして日本人は、そういったある種の“引力”にあらがえない性格なのかもしれないと。

 

ニコニコ動画やYouTubeでMADとして有名になった「総統閣下シリーズ」。これは「ヒトラー 最期の12日間」というタイトルで、Amazonプライム会員なら無料で全編見ることができます。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00G8A3FJE/ref=atv_dp_share_cu_r

これは第二次世界大戦末期、ドイツの首都ベルリンにソ連の兵士たちが押し寄せるなか、ナチスの幹部たちが地下の司令部で破滅的な結末を迎える様子を描いた映画ですが、地上にいる大量の市民もそれ以上の被害を受けるわけです。

このころは訓練を受けた正規軍兵士に加え、一般市民も「市民軍」兵士として戦闘に駆り出されるわけですが、戦闘訓練を受けていない彼らは敵の機関銃のいい的になるだけ。
市民が戦闘に駆り出され無残に死んでいくのを見かねた将校が、市民軍を管理する将校に止めさせるよう具申しますが、

その(戦闘経験や軍備)不足は、彼らの熱烈な勝利への執念が埋める。

同情しないね。同情など感じない。彼らが選んだ運命だ。

驚くものもいようが、我々は国民に強制はしていない
彼らが我々に委ねたのだ。自業自得さ。

 といった冷たい返答でした。
市民はナチスドイツという国が倒れることを阻止しなければという世論に押され志願し、バタバタと死んでいくけど…我々(国)は口でハッキリと要請したわけではないから「同情しない」という。ひどい話です。

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これと同じことは「家族や子供を持つか、持たないか」の選択にも表れているのではないかと。

1人の子供を産むには2人の大人が必要なわけですから、大人全員が「一人っ子」を選択すれば、簡易的に言えば人口は将来的に半減します。
ましてや「結婚したけど子供ができなかった」という人もいれば「結婚しても子供は持たない」、ひいては「結婚しない」ことを選ぶ人もいますから、誰かが2人以上の子供を持たないと国家が縮小していく一方です。

国はそれを強制できないけど、そういう危機感に似た空気はあります。

僕はまだ結婚もしていないので私感を語ることはできませんが、僕の勤務先の社長は、結婚する前あたりからそうした空気が、特に周囲の人間から発せられていたのを感じていた、と話していました。

 

「国を存続させるために、出来るだけお金を稼いで使って経済を回さないといけない、結婚して出来るだけ産まなければならない。
でもそれは国が強制しているわけではないから、不利益を被った場合はその選択をした個人に責任がある。」

こうした事実上の“挙手制”によって現代国家は支えられているような。

 

人生の満足感は自己決定の数が多いほど高まるといいますから、そうした行動をするには空気のせいにせず、よくよく自分で考えてから自責でしたいものです。

 

www.yoshinashigoto.com