「お盆に釣りには行ったらあかん」
子供のころ、親から何度も口を酸っぱくして言われたことを思い出しました。
浄土真宗の信仰のある家だったので、そういったことには厳しく言われていましたが、なんで?と聞くと、「お盆にむやみに殺生してはいけない」の一点張りでした。
クソガキだったので、
「じゃあ蚊も殺したらあかんのか?」
「今この時間も家畜は殺されてるやん」
などの屁理屈をこねていましたが、もちろんダメ。
以降、親との数少ない約束となり、今年のお盆(13~16日?)も釣りを自粛しています。
先祖を祀る日に生き物をいじめてはいけない
そもそもお盆とは、夏に天国から地上に帰ってくるとされる先祖の霊を、生きている者が祀る行事のこと。親族がいっぺんに集まるのもこのためですね。
ナスやキュウリに木を刺して、乗り物に見立てたものを一度は見たことがあると思いますが、あれは先祖を送迎するためのものですよね。
お盆の由来について、このサイトに詳しく書かれていました。
要約すると、
・釈迦の弟子の母親を餓鬼から救うために行われたのが始まり
・日本で始まったのは西暦606年、推古天皇(初の女性天皇)の時代から
・庶民に普及したのは江戸時代から
とのこと。
以前は旧暦で7月中旬に行われていたそうですが、現在のこよみでは8月に行われることになったそうです。
死者を祀る日に、地上で生き物を殺していたのでは話になりません。
クソガキだったので
「じゃあキープせずにキャッチ&リリースすりゃええの?」
と屁理屈をこねていましたが…この文脈から考えたら、釣り自体生き物をいじめていることに変わりはありませんから、今考えたら無論ダメですよね。
「水辺には近付くな」
さらに、親から「水辺には近付くな」とも言われていました。川、池、海、全部です。
このクソ暑い時期、水に浸かって遊べたらどんなに気持ちいいことでしょう。しかし、僕の家ではそれも叶いませんでした。
というのも、お盆の時期、霊は水辺を通して地上に戻ってくると考えられているのだとか。
仏教では、地上にある水辺が死後の世界(地獄)と地上を繋ぐと考えられているようです。
そのため、お盆の時期の水辺には多くの霊がウロチョロしてて、そこに生きている人間が近付くと一緒に連れて行かれると考えるようになったそうです。
自然現象が関連していた
こと、「水辺には近付くな」という教えには、自然現象が裏に潜んでいることが分かりました。
それは
・15日前後(月の中旬)は大潮になることが多い(土用波)
・お盆の時期を境に、クラゲが毒を持つようになる
こと。
15日前後(月の中旬)は大潮になることが多い(土用波)
大潮について、神戸市の8月の潮見表を確認すると
16日から中潮~大潮になります。
また、「土用波」という大きな波がこの時期にやってくると言われているそう。これは夏に頻発する台風の影響で発生する大波らしく、これと大潮が被るとかなり荒れるようですね。
これにより水難事故が多発したことから、この言い伝えが出来たのでしょう。
お盆の時期を境に、クラゲが毒を持つようになる
釣りをしてると、回収してるときにたまに引っかかるクラゲ。
このクラゲですが、およそお盆の時期までは幼生で、毒を持たないそうですが…
お盆くらいから成体になり、毒を持つようになるそうです。
おそらくお盆を過ぎたあたりから水温的に海水浴をしなくなるため、それと合わせて「お盆からは海に入らない方がいい」となったのでしょう。
人としての心の領域
これらがお盆に釣りをしてはいけない(水辺に近付いてはいけない)理由でした。
まだまだあるかもしれないので、もしこれ以外の理由をご存知であれば、コメント欄に書き込んでいただければ幸いです。
「結局迷信じゃないか」「ライフジャケット付ければよくね?」など、いろいろ反論は思いつきますが…結局こういう話は理屈ではなく、人としての心の領域なのかなと思います。
もちろん、釣り番組ではスケジュール的にお盆の時期にロケされたものもありますし、SNSではお盆の時期の釣果がたくさん上げられていることでしょう。
僕は別にそういったことを批判するつもりはありません。仕事が忙しく、お盆の時期にしか休めなくて何カ月も前から計画していた人もいるでしょう。
僕だって社会人になって、お盆にしか釣り出来ないとなれば話が変わるかもしれません。
ただ、「お盆の時期くらいは…」と思えるうちは、親との約束を守ろうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!