フォロワーさまから手塚治虫「ブラック・ジャック」を全巻頂きました!
ありがとうございます!
毎日コツコツ読んでいます。
ブラックジャックは1話完結の話が多く、ひとつ気になる回がありました。
それが「赤ちゃんのバラード」です。
赤ちゃんのバラード
不良の女学生の名称として1970年代に流行った「スケバン」。彼女らは集団で街行く人を襲い、カツアゲなどの不良行為を働いていました。
ブラックジャックの助手ピノコも、そのスケバンに因縁をつけられ捕らえられてしまいます。ブラックジャックは後日自宅に来るように言い、ピノコを救出して帰りました。
その後、仲間の1人がOLをカツアゲしコインロッカーのカギを奪ったと喜んでボスに駆け寄ります。
ロッカーのなかに何かいいものが入っているか意気揚々と鍵を開けるスケバンたち。
しかし、ロッカーの中身は衰弱した赤ん坊でした。あのOLがロッカーに捨てていたのです。
スケバンのボスは一度見捨てますが、どうも心にとがめるものがあったらしく、医師のブラックジャックのもとへ。
ブラックジャックは警察に届けることを勧めますが、スケバンという身から警察の厄介になるのは不都合がありできません。
ブラックジャックは仕方なく治療をしますが家にはおけないため、スケバンは毎日ロッカーに赤ちゃんの様子を見に行く生活を繰り返します。
スケバンは家が裕福で、家から盗んだ大金をブラックジャックに治療費として渡しますが、ブラックジャックは「盗んだ金はいらんっ!」の一点張り。
強欲な彼にも矜持があるようです。
その後、親に金を盗んだことがバレてしまい、スケバンは外出禁止に。赤ん坊の様子が気掛かりで仕方ない日々を過ごしますが、ある日、ロッカーから赤ん坊が保護されたというニュースを耳にします。
通報したのは他でもなくブラックジャック。彼は最後に優しさを見せてくれるいいヤツです。
コインロッカーベイビー
ブラックジャックに限らず、マンガは連載当時の社会現象を取り入れた話が多いです。
当然この話も、モデルとなった実話があるはず。
調べてみると、「コインロッカーベイビー」というものがヒットしました。
コインロッカーベイビーは、鉄道駅などに設置されているコインロッカーに遺棄された新生児である。捨て子事件であり、新生児が死亡していれば死体遺棄事件でもある。 1973年に前後して日本国内で同時多発的に発生、社会問題となった。
1970年代に社会問題となったようです。
1970年代といえば高度経済成長後の世界。経済の回復・成長と共に生活が豊かになった反面、人々のモラルが崩れていった時代でもあります。
コインロッカーなど無人サービスの台頭、若者同士の軽率なセックス・妊娠が流行したことが掛け合い、このような問題が多発したようです。
コインロッカーベイビーで遺棄した側が検挙された例の多くではであったという。
コインロッカーに入れられた状態では中に赤ん坊がいると気付かれにくく、多くは「異臭がする」などの理由で発見されるもよう。かなりむごい話です…
藤子・F・不二雄「間引き」も
実はこの話、初めて見たような気がしなかったのです。
思い出すと、「ドラえもん」で有名な藤子・F・不二雄がこの件について書いていました。
それが「間引き」。
テレビ『マツコ&有吉の怒り新党』にて、この話が紹介されていたのを観たんだと思います。
この話でキーとなっているのは「人口爆発」。
経済の成長により人口が爆発的に増え、食糧の不足に悩まされている世界線。配給制になり、食糧難で人同士の関係もギスギスしています。
コインロッカーの管理人をしている主人公は、コインロッカーから異臭がしないか確認する日課が欠かせません(理由は上記)。
そこに1人の記者が現れ、彼はコインロッカーベイビーについてルポを書きたいそう。コインロッカーベイビーは人口抑制の1つの手段だ、などべらべらと喋っています。
そこに風呂敷を持った一人の怪しい男子学生が。尋問すると風呂敷の中身はお人形。
しかし彼はデコイで、その後赤ん坊を隠そうとした女子学生が捕まりました。
あたいたちがなにをやったっていうんだよ!
この赤ん坊ふたりで作ったんだよ。だれの世話にもなっちゃいないんだよ。
自分のものを自分で捨てて悪いのかよ!
と吐き捨て、警察に連行される女子学生。
このセリフには震えました。「もの」扱い…
今もなお問題に
このコインロッカーベイビーという問題ですが、2015年に韓国で「
そのほか、初音ミクや龍が如くなどでもこの問題が取り上げられたのが散見されました。
生き物に対する慈しみの気持ちを捨ててしまえば、いつか人類も滅んでしまうと思ってやみません。