5月7日、シマノがツイッターでマウンテンバイクコンポーネント「DEORE(デオーレ)」がリニューアルしたことを発表しましたね!
Now, with 12-speed capabilities and premium Shimano technology, the newly redesigned DEORE M6100 mountain bike group will redefine your expectations of what performance parts at this price can deliver. This is the new SHIMANO DEORE.https://t.co/ZaVQM1uzcR #ShimanoMTB #DEORE pic.twitter.com/svEvEa77BP
— RideShimano (@RideShimano) May 7, 2020
XTR、XT、SLXに引き続き、中間グレードなDEOREが【M6100】の型番を名乗り、今年から12速にリニューアルしました。
フロントシングルに絞り、カセットスプロケットは10-51tと超ワイド。たまげたなあ…
公式URL:シマノ「DEORE M6100」
規格がてんやわんや
まず僕がロードバイクにしか乗らないということもあって、マウンテンバイクの規格が分からず、少し勉強しました。
OLDについて
OLDは「オーバーロックナット」の略で、要はハブの幅を示します。
参考:サガミサイクルセンター「OLDについて」
ロードバイク&クロスバイクなどオンロードバイクについて、
フロントハブはすべて100㎜で、
リアハブは、
・ほとんどのロードバイクは130㎜(クイックリリース)
・クロスバイクは130㎜と135㎜が混在(クイックリリース)
・最近流行りのディスクロードは142㎜がほとんど(スルーアクスル)
みたいですね。
ディスクブレーキだと「クイックリリース」ではなく「スルーアクスル」が使われることが多く、一般的にクイックリリースより太くて長いヤツと思っていいようですね(クイックリリースでもディスクブレーキは使えますよ)。
で、マウンテンバイクの規格はというと、
・普通のマウンテンバイク
フロント:100mm(クイックリリースor15㎜スルーアクスル)
リア:135㎜(クイックリリース)or142㎜(12㎜スルーアクスル)
ディスクブレーキの場合使われるスルーアクスル。
なんとスルーアクスルの場合、フロントとリアで太さが違うんですね!これは知らなかった。
クイックリリースのよりスルーアクスル版のほうが、OLDが長くなるようです。
フロント→15㎜・リア→12㎜
で、「普通のマウンテンバイク」とわざわざ設定したということは、変な規格もあるみたいで。
・Boost(ブースト)規格
フロント:110mm(15㎜スルーアクスル)
リア:148㎜(12㎜スルーアクスル)or141㎜(クイックリリース)
「ブースト規格」という、ダウンヒルバイク(山道を下っていくような負荷の強いバイク)でよくみられる規格があるようです。
フロントは100㎜→110㎜に、リアも142㎜→148㎜と広くなっています(クイックリリース版は135㎜→141㎜)。
OLDは広くなればなるほど剛性が高まるので、高い負荷が掛かるバイクに採用されるみたいですな。
スルーアクスルの太さ自体はブースト規格でも変わりません。
解決!すこし偉くなりました。
ブースト規格かどうかでチェーンラインが変わってくるため、クランクもブースト規格専用のがあります。
ロードバイクは規格がほぼ変わらないため新鮮な話。でも、ディスクロードはOLD142㎜になってるのにクランクは変えなくていいの、なぜだろう…?
「マイクロスプライン」って?
これもよく知らんかったのが「マイクロスプライン」。
これはフリーボディ(カセットスプロケットを指すところ)のマウンテンバイク用の規格みたいです。
今までのシマノのフリーボディの規格は「HG」というやつ。薄い溝があるやつです(カンパニョーロのフリーボディはもっと深い)。
しかし、このフリーボディは最小スプロケット歯数が11tまでという制約があります。
正直、フロントギアが2枚あるロードバイクなら11tまであれば十分なんですが、最近のマウンテンバイクはフロントをシングルギアにする流れがあり、リアギアの多段化・ワイド化に躍起です。
そこで、最小スプロケット歯数10tを実現する「マイクロスプライン」規格が出来たとのこと。←そんな変わるのか…??
HG規格とくらべ、溝が小さく、多くなっています。
またフリーボディがアルミ製となり、軽量化にも貢献しているそうですな(ちなみにデュラエースのハブのフリーボディはチタンだと思うんですが、どちらが軽いのだろう?)。
ですが、このマイクロスプライン、結構否定的な声が多いらしいんですね。
その理由として一番多いのが、この規格の利用権をクローズなものにしてること。
世の中にホイールメーカーはたくさんあれど、コンポーネントメーカーはシマノ・スラム・カンパニョーロの3つしかありません(小規模なものは除く)。
なんならカンパはいま全くMTB市場に参入していないため、のこりの2社のみ(昔なまじ参入して失敗した痛い経験がまだ残ってるんでしょうね)。
当然、完組ホイールを作ろうにもハブがいるわけで、ハブにはフリーボディが付いてるわけで。
現在シマノはDTスイス・マビックNewmen・Industry Nineにマイクロスプラインにマイクロスプラインの使用を許可しているようで、ここで囲い込みをしているわけですな。
一方、競合スラムが出している12速用フリーボディ「XDドライバー」規格はオープン規格(誰でも作っていい)にしているそうで、こちらは好評なようです。
規格を作ることが出来るメーカーとして、ライセンス商売で囲い込みMTB市場を席巻するスラムに一矢報いたかったんでしょうが、これは失敗かもしれませんね。
参考:ⅽbnblog「シマノはなぜマイクロスプラインハブをオープン規格にしなかったのだろう」
カプレオは9tを実現してたじゃない
そういえば、シマノは昔から(特殊ですが)HG規格で小径車専用の「カプレオ」というコンポーネントを作っていて、これは最小スプロケット歯数が9tでしたよね。
マイクロスプラインがどうとかは知りませんが、なんか昔のコンポの方が進んでるのは何なんだろうなあ…
参考:自転車でGo.com「DAHON Curve D7を最速にするSHIMANO Capreo(カプレオ)とは?」
とはいえ、最小スプロケット歯数が小さくなるほど、摩耗しやすい=交換時期が早まる=自転車コンポメーカーが儲かる!
昨今のフロントシングル神格化・リアギアのワイド化は自転車業界の罠のように思えてなりませんな(ワイはトラディショナリーなロードバイク乗りなので関係ナシ)。
???「やっぱ8速だよ。」
P&P COMPONENTS WH-C1600M
さて、ここまで一通り書いて、最近のマウンテンバイク規格について少し知ることが出来ました。
ロードバイクばかり乗ってるとあまり触れない分野なので、DEOREのおかげで勉強することが出来ましたわ。
僕のブログでも特によく見てもらえてる「P&P COMPONENTS」の記事ですが、 「WH-A1500R "BLACK LYCAON"」以外にも、マウンテンバイク用完組ホイール「WH-C1600M」を販売しています。
これは「29インチ」で「ブースト規格」のカーボンホイール!
もちろんスルーアクスルなのでフロント110×15、リア148×12(㎜)ですね!(今日の復習風)
いや、値段が値段(90900円+TAX)だけにリムがカーボンなのは驚きましたわ。コスパスゴイ。
で、これの面白いのはマイクロスプラインとXDドライバーに両方対応していること。カンパのホイールみたいですね
これも数が限られてるでしょうし、気になる人は早めに買った方がいいかもしれませんね。
山のなかは3密じゃないし…